景観色彩ファイル/福岡景観色彩研究会

福岡九州で活動する福岡景観色彩研究会の景観色彩ファイルです。研究会会員が客観的に九州の景観をアップしていきます。

景観色彩ファイル038/次々にできる箱物

佐賀平野の真ん中に出現した佐賀アリーナ

 

福岡市はここにきてスクラップ&ビルドにいっそう拍車がかかって、福岡市中心部は建設ラッシュです。

この数年、他の都市の箱物やアリーナ、そして各種スポーツ競技施設も景観色彩の研究がてら並行してリサーチしています。

福岡のお隣、佐賀県は、このアリーナ他、佐賀県のリードのあり方が結果が良かった方ではないでしょうか。

(同時に、諸手を挙げて大歓迎ムードの日本各地新幹線の乱造にも佐賀県は一石を投じることができていると考えます。)

ちょうど、先刻訪問した鹿児島では、一番景観を損なう鹿児島市ベイエリアにサッカー競技場と、大きなアリーナ建設を、行政トップがどうやら本気で考えているようで、かなりの時代遅れ感を感じました。感覚としては、前回の太陽国体から考えが特に進歩したとは思えません。


投稿者
長 和洋/イルドクルール
カラーコンサルタント

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景観色彩ファイル037/福岡市民不在の都市再開発/旧福岡大名小学校

異様なまでに街並みの様相が変わった大名/国体通りエリア

福岡市は続投の決まった高島市長の肝入り事業「天神ビッグバン」「博多駅コネクティッド」という横文字事業がますます拍車がかかっています。

画像は、福岡市の中心地、大名の活発な再開発の進む地域、国体通りです。この場所には、福岡市の若い世代が集う「福岡市青年センター」福岡の歴史ある「大名小学校」、そして消防署がありました。つまり、市民の暮らしがこのエリアにあったのです。

先の震災では、避難する場所さえない福岡市中心地の中で、この大名小学校運動場が唯一受け皿となりました。

穏やかな色と形状の特徴があり、低層(自主規制で15階を高さの上限)とした福岡の建築や街並みは高島市政で一気に破壊され、鋭角的で冷淡な色の巨大な建造物はまだまだ増えそうです。

高島氏が「私の夢だ」とかつての選挙中に語った、博多駅とベイサイドエリアのロープウェイ構想が再び盛り返さないことを願っています。

 

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長 和洋/イルドクルール
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景観色彩ファイル036/福岡市民不在の都市再開発

再開発が決まった福岡市中央区天神の新天町

福岡市は、高島市長が2022年秋の市長選で再選。

当の市長の弁では、「天神ビッグバン」「博多駅コネクティッド」が支持され評価されたとのこと。

 

ただし、投票率も低く、本当に市民が、「天神ビッグバン」「博多駅コネクティッド」等々に関心があったのか、支持はあったのかは至って不明です。

 

それは、一部新聞の報道の論調も決して肯定はしていませんでした。

 

福岡の繁華街/ビジネス街の天神も、あちこちでビルの建て替えが進みます。

そして、そのど真ん中にあった、新天町も老朽化を理由にビル化の決定と報道。

 

再開発が進み、税収のアップばかりが強調されますが、ビルやオフイスの空き率はとうに危険水位。

 

治安の面では決して良くなったことはなく、中央エリア/大名の自治会の方々が、「ガラが悪くなった」「毎朝酔客の吐瀉物や排泄物の清掃に追われている」と、まちの変化には一番敏感な声を上げておられました。

 

この2022年の今時、日本のどこの繁華街で路上での立ち小便や排泄が日常化しているでしょう。

 

福岡市職員の飲酒運転がもとになって取り組みが始まった「TEAM ZERO」という飲酒運転撲滅運動も、広告は地元新聞社一社に限定。今では目立った取り組みは見えません。そもそも、スポーツのようにTEAM/チームというネーミングが相応しかったのか、首をかしげる識者も。

 

これも、市長の弁を借りるなら「アジアのリーダー都市」になったということでしょうか。

 

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長 和洋/イルドクルール
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景観色彩ファイル035/景観と車両デザイン

公共交通機関は移動体ですが、景観の一要素と考えています。

 

専門職として、景観の調査に年間を通じ色々な街をめぐりますが、バスやタクシー、電車と、景観を損ねるものも少なくありません。

 

例えば、九州ではJRの路線バスは消防車のような赤、もちろん全体赤一色です。

緊急車両なら妥当な車両全部真っ赤と言うものも、路線バスに全車使用するJR九州関係のデザインを一手に担う水戸岡氏のセンスは全く理解できません。

ただ、これには続きの話があり、韓国航路(水中翼船のような高速艇)に、真っ黒を使用してBEETLEとネーミングしたり、今度はJR国際線の高速艇に血のような赤色を用いたり。

よくコンペやプレゼンで「世界に他にない」「唯一無比の色」と安易に特異な場違いな色を提案する安易な手法もありますが、このバスや高速艇の色は、もう一人の企画立案者の趣味か道楽、もしくは色彩に造詣が深くない方の独善的なカラーデザインとも考えられます。

 

特に路線バスであれば、赤は路線バスではなく普通に緊急車両に用いるべきでしょうし、黒い船舶(しかも高速艇)は海上でおそらく視認性も悪く、衝突等で海洋の他の動物に危害を与えていた可能性さえ考えられます。

東京の田園都市線ナチュラルなコンセプトの内装

画像は都内の田園都市線の内装。

 

カラーデザインにはコンセプトが必須。

今回のJR九州の新幹線カモメも、既存の700系の車両を「お化粧をしてあげるんですね、目も鼻も描いてあげて…。(実際の講演会での水戸岡氏の弁/伝聞抜粋)」と、ご本人の弁をしても厚化粧を施しただけの、まさしくノーコンセプト。

また、かもめも「赤」の由来も、もうどうでも良いことになっています。

(水戸岡氏は、豪華旅客車と言われるななつ星以来、イタリアのアルファロメオを模したようなグリルデザインがお気に入りで、車両先頭に不要なマークの再登場です。)

 

事実、多くのJR九州の旧来の車両に色を塗り、ロゴマークや社名、車両名のローマ字を大きく羅列しての車両デザインは、本来の車両デザインとはかけ離れた、厚化粧の域かもしれません。

 

それは、日本国内の大型輸送や公共交通機関を担う各社の秀逸なコンセプトのあるカラーデザインを見ると痛感します。

 

 

 

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長 和洋/イルドクルール

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景観色彩ファイル034/福岡市は木を切っています

画像は最近配布された福岡市のパンフレットです。

 

福岡市中心部では高島市長に変わって以降強力に推し進められた天神ビッグバンと称してのビルの乱開発が進んでる現状から「循環のまち/福岡」は即座にイメージできません。

 

 

次の画像は、福岡城址の切り倒された巨木です。

1本や2本ではありません、あちこちでこの光景を見ます。

「樹医の判断だ」

「倒木の危険性がある」

「災害が起こってからでは遅い」

そういう答えが担当局には準備されているのでしょう。

 

少なくとも、(比較は難しいですが)ニューヨークのセントラルパークで、このように巨木の伐採が次々に行われていれば、ここ福岡も不自然なことではありません。

しかし、そういうことはありません、福岡市特有の事情のようです。

 

同様のことが福岡市中央区赤坂小学校/赤坂公民館/中央区体育館に続く桜並木も、同様の理由で全滅。今ではキレイな歩道に置き換わり、申し訳程度に貧弱な桜の苗木が植わってます。

 

これが、循環のまち/福岡市の現状です。
 

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長 和洋/イルドクルール

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景観色彩ファイル033/地域の景観になじまない建築事例

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日田市の景観/塗装色と建築許可問題提起事例2021年12月

 

画像は、住宅地に建つ、民間の介護施設と思しき建築です。

ごく普通の住宅地でも、この彩度と色使い、そして表面積は注文がつくでしょう。

 

それが、ご覧いただけるでしょうか、

周囲は雑然とした景観ではなく、大分市日田市の歴史ある控えめな色彩の存在するエリア。

 

問題はこの建築許可を出した行政が問題で、

住民が提起して、市税でこの建築の塗装を変えるくらい訴えて良い事例と考えます。

街の財産が何か、まちの宝が何か、それを考えるのが行政であるはずです。

 

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長 和洋/イルドクルール

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景観色彩ファイル032/福岡の景観〜変わらないものと変わっていくもの

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福岡市平和台陸上競技場福岡国際マラソン第75回大会

 

本日の大会開催をもって無くなってしまう、福岡国際マラソンのスタートです。

今年も観客席は閉鎖、ブラスバンドも花火の祝砲もありません。

周囲はすっかりマンションが林立、しかし、ここ競技場は以前からの石垣に芝生の観客席。

 

大濠の花火大会も無くなり、今度はマラソン

福岡は無くなっていくものが多い気がします。

 

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長 和洋/イルドクルール

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景観色彩ファイル031/福岡/福岡市と高島市政は「まちこわし大賞」の常連です

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福岡の景観大博通り2021高さ規制の結果の景観


福岡の市民団体、福岡・住環境を守る会は、毎年、福岡の景観を著しく損なった法人や団体/個人に「まちこわし大賞」を贈呈しています。

 

画像は、博多駅からのぞむ、大博通りと、遠くに見える志賀島博多湾の景観です。

これほど、建築の高さが揃えられた都市が日本のどこにあるでしょう。

福岡は市民レベルの自主規制で、建築の高さを制限してきましたが、福岡市が元地元民放局アナ高島市長になった途端、天神ビッグバンと称して、自主規制や高さ制限、容積制限をなかったことのような行政を展開。

天神も博多駅界隈もビルの建築ラッシュです。

 

まだまだ今後も建築の規制を緩和して、福岡をアジアのリーダー都市とすると息巻いていらっしゃいます。

直近の高島氏の著作も、安倍晋三氏、麻生太郎氏絶賛と大書してありますからその通りなのでしょう。

 

おそらく、高島氏は、景観という意味がわからない、理解できない、

または、新しくモノや箱を作ることがまちづくりと勘違いなさっているのでしょう。

 

 

 

 

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長 和洋/イルドクルール

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景観色彩ファイル030/北海道/小樽市の取り組み

一般的な話ですが、傾向としては景観を守る、つまり維持する方向ではなく、景観を新しくつくる方向で多くの自治体や行政は動いています。

 

以前から興味があった、小樽の中心部近くにある、旧国鉄手宮線跡地の状況を見に行きました。

きっかけは、BSかYOUTUBEで観た、廃線マニア/六角精児さんのコンテンツです。

特に道内には廃線の後が各地にあり大いに興味を持ちました。

 

景観を残すことは、逆にエナジーも資本もかかることかもしれません。

ただ、しっかり残された景観が答えをくれそうな気がします。

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小樽市/旧国鉄手宮線/色内駅跡

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長 和洋/イルドクルール

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景観色彩ファイル029/大阪府/枚方市の取り組み

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大阪/阪急/枚方市駅のコンコース


画像は阪急/枚方市駅の構内の様子です。

しばらく、枚方は通過することはあっても、実際にこうやってリサーチに行くことがなく、今回のリサーチで枚方市の取り組みや住まう方々の思いがたくさん伝わってきました。

 

枚方市は新しく文化施設もオープンしますが、そのようないわゆる箱物だけが脚光を浴びているのでもなく、

人の流れを分析する「スマート街路灯」

のような、最先端の行政のアプローチも新鮮です。

 

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長 和洋/イルドクルール

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